多摩川河川敷事件
先日、多摩川河川敷そばの舗装道路を自転車で走っていたところ、突然、前を走る小型トラックが急停止しました。
運転手がドアを開けて外へ出ます。なにが起きたのだろうと、野次馬根性の強い私はすぐに現場へ駆けつけます。
すると、1.5メートルほどの蛇(青大将)が道路を横切っているところでした。運転手のおじさんが「ほら、早く入れ」と靴を踏み鳴らし、草むらへ追いやってあげます。
見守っていた後続車のドライバーもイヤな顔をせず、ひとつの生命は守られました。なんでもない出来事でしたが、ちょっといい気分。これからいいことが起こりそうな予感。
川岸でのんびりするため、草むらを降りてみました。
「それにしても、さっきの蛇は青黒くて、サンマかサバが長く伸びたような感じだったなあ……」
などと、つぶやきつつ、川岸に到着。コンクリートの護岸に何気なく、靴を乗せたときでした。靴の裏からボロッと、やや粘着質の茶色い物体が崩落しました。
「?!」
まさか……いや、これは純粋な土のはず。粘土質の土を踏みつけただけ!
そう思ったものの、おぞましいモノを踏んだのではないか、という疑念は、どんどん膨れあがってきます。
臭いをかぐわけにもいかない。しかし、事実なら……。やがて1匹のハエが、崩落した茶色い物体に舞い降りて事実は裏づけられました。
必死で付近の雑草に、靴の裏をなすりつけました。それでも気分が悪いので、水面に靴の裏を浸して、さらに雑草でゴシゴシ。何度も繰り返しました。
「クソッ(ダジャレではない)……」
釣り人がのんびりと釣り糸を垂れるそばで、美しい夕陽を浴びながら、私の作業はとめどもなく続くのでした。